艋舺行徳宮

行徳宮は真武殿がある西昌街から東に行った雅江街という路地にあり、1964年に中山区の天王寺に祀られていた田都元帥の分霊を受けて創建されました。

主祭神は田都元帥。元帥といういかつい神名のわりには芸能の神様です。福建にはこの田都元帥を奉じる劇団と、同じく萬華にある啟天宮に祀られている西秦王爺を奉じる劇団があり、双方が台湾に渡ってきて殺し合いをしたりしてたようですが、日本時代に文明人になって以降は双方仲直りして交流しているようです。

後殿にも田都元帥。例によって唐代の楽人だとか将軍だとか、地獄の裁判官の一人東嶽大帝の義子だとか、はては陳平だとか諸説いろいろあるのでたぶん全部後付けです。行徳宮の公式サイトには「三田都千歳」という表記もありますので、王爺千歳信仰も結びついているようです。

千歳というのは、天帝に代わって地上の悪霊や疫病を討伐する「王爺」の別名です。

正殿の祭壇と壁の隙間にダブル関聖帝君。この隙間は50cm程度しかなく、私は体が小さいので入れましたが、太めの人はつっかえるでしょう。隙間あったから誰か祀っとけみたいなノリを感じます。

内江街の側に牌坊というにはちょっとしょぼい門があります。

路地全体に提灯がつるされ、参道のようになっています。すぐそばの真武殿がいつもひっそりとしているのに対して、行徳宮はいつも地元の人たちが何人かたむろしており、寄り合い所ような役割を果たしています。他にも寄り合い所になっている小さな廟はあり、そういうところはよそ者が入りにくい雰囲気をかもしだしていますが、ここはわりと入りやすくて、私がお参りの順番に迷っていたらおじいさんが親切に教えてくれたし、撮影させてもらっても特に何も言われませんでした。