淡水福佑宮

淡水福佑宮は淡水を代表する廟。MRT淡水駅の少し先から伸びる中正路は、淡水老街とも呼ばれるお土産屋さんなどが並ぶ観光街になっており、その中心に位置します。

廟の入り口に貼り付けられた古蹟指定のプレート。

天上聖母を祀る媽祖廟です。創建は清代の1796年と古く、同じく天上聖母を信仰する福建各地からの河老系移民と、福建や広東各地からの客家系移民がお金を出し合って建てたとのこと。それぞれ出身地が違うグループがなにかというと殺し合っていたという話はよく聞きますが、協力して一つの廟を建てたというのはめずらしい話です。

廟の向こうに見えるのは淡水河。創建当時は川に直接面していたものの、時代が進み河畔が整備されるにつれて川から少し遠ざかったようです。ただ、これだけ川に近くに建てたというところに、当時の淡水の人々が争いよりも協力して媽祖廟を建て、天上聖母の加護を求めた切実な気持ちが伝わってくるようです。いまでこそ万能のご利益を求められている天上聖母も、もともとは航海の守護神として信仰されていました。

天上聖母の配神として水仙尊王。こちらは海神で、天上聖母の配下とされています。その正体は禹であるとか伍子胥であるとか、屈原だとか項羽だとか、あるいは李白だとか、水関係の有名人が後付されていますけど、どいつもこいつも水といっても川の治水だとか川で死んだとか川辺で死んだとかばかりなので海神に設定するのはむりやりすぎます。

正殿の左右にある副殿には諸神が祀られます。まずは趙公明を中心とした五路財神。

太歳殿には斗母元君と60太歳神。

こちらは文昌帝君。

反対側の副殿には月下老人。ここでは赤い糸の配布はしていません。

こちらはこの廟を建て、代々守ってきた方々の位牌。

城隍爺。左右には関聖帝君と福徳正神が祀られます。

廟の天井を見上げると、年月を経ることでしか生まれない風格を感じられます。

外壁には比較的新しい奉納品の彫刻。四隅の三角の部分に張り付いているのは蝙蝠です。中国語読みすると「変福」に通じるということでダジャレ的に縁起物にされています。