艋舺興龍宮

龍山寺の前を走る広州街は日本人もよく訪れる艋舺夜市の中心です。その広州街に対して垂直に伸びる華西街と梧州街があり、梧州街にはおいしい食べ物屋台が並んでいます。梧州街から広州街を通って南に行き、夜市がとぎれるあたりにあるのがこの廟です。

台湾には、日本で言う宗教法人のような形で運営されている廟と、お祓いや占いを行って収入を得ている個人経営の廟があります。こちらは個人経営の廟。洗濯物が干されていたり、中に入ると家族でテレビ見ていたりと、よく言えばアットホームな感じです。

内部はこんな感じで、左側は生活スペースとなっていてこの廟を運営していると思われる人々がたむろしています。

主祭神は王母娘娘。つまり西王母です。娘娘は女神様の尊称です。他に雑多な神像が所狭しと並べられています。中央に千手観音のように腕をいっぱい出している斗母元君がいて、おおざっぱに西王母の周囲には女神、その外周に男神が置かれているという構造になっています。わかるところだけ挙げると、西王母の左手側にいる大きな像がおそらく玉皇大帝、他におなじみ中壇元帥、関聖帝君、福徳正神、神農、盤古、地蔵王菩薩、済公などが祀られています。

最前列を守るは斉天大聖と顕聖二郎真君。真ん中は誰だかわかりません。顔立ちから女神かもしれず、この二神に守られる女神といえばこちらも西王母なのかもしれないです。

この杖は、西王母のペットの鳥・鸞鳥がとまるためのもの。鸞鳥は神意を天界から伝える鳥として重んじられます。その神意を受けて行われるのが扶鸞=扶乩です。つまりこの廟は扶乩の系譜をひいていると見ていいと思います。ただ、同じく扶乩から発展したという鸞堂恩主信仰とはまた別系統のようです。

主炉の前にいる三神はどなたかわからないですね。基本老人の三清とは確実に違います。若年で三柱セットの神様というと、哪吒、木吒、金吒の李家三兄弟を思わせられます。

その後ろには布袋和尚。布袋は弥勒如来の化身だという信仰があるため、台湾では弥勒とされることが多いです。また、布袋和尚が持つ布袋には宝がつまっているとして、財運の神様としても信仰されます。街中のロトなどを売る宝くじショップにもよくこのような布袋の像が祀られています。

主祭壇の横手には小さな虎ちゃん山。西王母が主祭神なので崑崙山でしょうか?

五営将軍。なぜか五令旗は10本ありますが。

天公炉の向こうに見えるのが梧州街です。場所柄このへんのお店で働いている女性がお参りしているのをよく見ます。