萬華保安宮

萬華でひたすら廟めぐりをしているときに、環河南路を南下というか南西方面に下っていったところで見つけた廟です。保安宮とあるのでてっきり保生大帝の廟かと思ってお参りしてみると、五府千歳を祀った代天府でした。

代天府は玉皇大帝より地上の霊的空間の警備を任され「代天巡狩」を行う王爺千歳を祀る廟のことです。

ちなみに保生大帝にも王爺としての属性も付与されていることがあります。

こちらに祀られる王爺は五府千歳。五府千歳は地方によって組み合わせが変わります。台北では、朱、池、李の三府千歳に呉、范千歳を加えた5柱の組み合わせが多いようです。

朱府千歳は朱叔裕、池府千歳は池夢彪、李府千歳は李大亮、呉府千歳は呉孝寬、范府千歳は范承業という唐朝建国時の功臣たちで、義兄弟の契りを結んだといいます。台北だと繋がりがある5人の神格化になっていますが、台南だと朱府千歳が鄭成功だということになっていたりします。朱府千歳なのに鄭成功なのは朱姓を賜っているからです。

萬華地区にはこのような王爺廟が多いように思います。

代天巡撫では主に疫病をもたらす瘟神が成敗されます。日本時代以前の衛生環境が悪く伝染病が容易に広まる「瘴癘の地」とされていた台湾では、神頼みのよって病気が広まらないように祈るしかなかったのでしょう。

五府千歳の前には観音仏祖。

観音仏祖の左右には福徳正神。前には中壇元帥。李家三兄弟というわけではなく、三尊とも中壇元帥ですね。

五府千歳の足元には赤塚不二夫先生の漫画に出てきそうなデザインの虎ちゃんがいます。

配神として武財神趙公明。

それに天上聖母媽祖。

だいた人気の神様をそろえましたという感じです。

撮影していたらおばあちゃんに台湾語で話しかけられたので、わし日本人だから台湾語わからんねんって言ったら中国語に切り替えてくれました。どうやらこの廟はおばあちゃんの個人経営でわりと長いことやっとるよということを言いたかったようです。