艋舺真武殿

台湾の道教信仰・中国南部の民間信仰は、中国からの移民によってもたらされたゆえに、道教廟は清の頃から開かれた古い街により多く存在します。日本時代になって交通インフラが大幅に発展するまでは、台北の流通は基隆川や淡水川を使った船運が中心だったため、古い街は川沿いに集中しています。萬華は川沿いにある台北で最も古い街なので、道教廟も密集しています。

特に目当てがなくても、萬華をふらふら歩いていれば廟にぶつかります。この真武殿もなんとはなしに歩いて見つけました。

主祭神は北極玄天上帝。四神のうち北を守る玄武が人格神にされた姿です。北の守りという関連性から北極星とも結び付けられましたが、北極星の神格化は天皇大帝とか紫微大帝とかいろいろいて、特に整合性はとられていません。天皇大帝と紫微大帝についても、同一神だったり兄弟神だったりいろんな設定があってなにがなんやらという感じです。あるいはもともとは別々の民族の北極星信仰が、後に入り混じったせいかもしれないですね。

真武というのは、宋代に三代皇帝真宗が夢に玉皇大帝のお告げを受けたとしてでっち上げた趙氏の先祖・趙玄朗の諱を避けて付けられた名前です。これ以前には、唐代に李世民の諱を避けて観世音菩薩が観音菩薩になったという例もあります。

城市の守り神城隍神。

土地公は城隍神の配下の福徳正神です。

道教廟には主祭神の下に虎爺が祀られていることが多いんですが、ここには「護馬将軍」がいます。護馬将軍って誰と思ってYahoo奇摩で調べても同じ真武殿のものしかヒットしません。普通は虎爺や馬爺が拝まれるのですが。ていうかタマゴが備えられているということは、この虎ちゃんもやはり虎爺として信仰されているということでしょう。

あくまで想像で言いますけど、虎爺と馬爺をいっしょに祀ったところ、誰かが「これ馬が食われねえ?」と思ったために馬丁を虎から馬を守る将軍ということにしたのではないでしょうか?この廟は日本時代の1912年創建と100年以上経っている廟なのに、この部分だけは新しいですし。

五営将軍と中壇元帥。直立型の中壇元帥像はわりとレアです。

諸神。関聖帝君らしき像や媽祖らしき像がいろいろ並べられています。

私は反対側から入りましたが、西昌街を東西に遮る内江街の側に門がありました。