宜蘭東嶽廟

台湾の道教廟は、台湾西部については高雄(左営)、台南、台中、新竹、桃園などを巡ってきました。それでもまだまだ行けていないところは多いとはいえ、主要な都市の重要な廟の多くを見てきたと思います。

しかし、台湾東部についてはまったくの手つかず。今回やっと東部でも台北から1時間程度で行ける宜蘭の廟の一部を巡ってくることができました。

宜蘭東嶽廟の創建は清朝統治時代の光緒四年=1878年。台南の東嶽殿に次いで台湾で2番めに古い東嶽廟であるようです。

入り口の門は近年新しいものに作り直された様子。

非常に立派な獅子が入り口を守ります。仏教寺院ではないので阿形吽形ではありません。

七爺八爺のゆるキャラ。

主祭神は死後の世界の入り口である泰山の主・東嶽仁聖大帝。またの名を泰山府君。

泰山府君はかの安倍晴明が祀った神です。日本の陰陽道は道教のはしっこあたりをつまんでパクったものですね。

左右には東嶽大帝の部下である十殿閻羅が配されます。

地蔵王菩薩は十殿閻羅を統率する存在であり、また東嶽大帝以下地府の神々が加護を受ける存在であり、さらには第五殿閻羅王の化身でもあるという、いろいろ設定がとっちらかった立場にあります。

右に三山炳靈公黄天化。

炳靈帝君は東嶽大帝の三太子で、龍虎山、閤山、茅山の三山を統治します。

『封神演義』では武成王黄飛虎が東嶽大帝、その長子の黄天化が炳靈公に封じられました。もともとの三太子ではなく大太子となっているのは、封神演義の設定のほうをとっているからでしょう。

左に陰陽司公。

さらに七爺八爺。

陰陽司公と七爺八爺は本来城隍爺直下の部下となります。

しかし、東嶽大帝は城隍爺よりさらに上の役職であるためか、東嶽廟では東嶽大帝の部下のようにして祀られていることが多いです。

二階に上がると醮が行われていました。

二階は天井が高く荘厳な雰囲気です。

二階の左右には、これも本来は城隍爺配下の裁判官団である六司が祀られます。

二階正殿のかたわらには東嶽廟神将堂。

ここには諸神の大仙尪仔が並んでいます。

神将堂の横には文化館があります。

ここには、お祭りのときの神様の巡幸に使われる聖轎。日本で言うおみこしが飾られていました。