大龍峒保安宮と孔子廟の間から伸びる大龍街を南下した位置にある樹徳公園の周囲は、かつて豚の屠殺場があったということで豬屠口と呼ばれています。
豬屠口はまた、道教廟の密集地帯でもあり「廟街」とも言われています。協天宮はその中でも最も古い廟です。
ここは主祭神が関聖帝君の関帝廟。関聖帝君にはまた「協天大帝」という別名もあります。
入り口には関平と周倉。関聖帝君にこの二人は欠かせません。
しかし、一口に関帝廟と言ってもどうやらいくつかの系統があるようです。例えば行天宮は「恩主信仰」の廟で、「五恩主」の一柱として関聖帝君を祀っています。
また、関帝廟ではありませんが、文昌宮では学問神の「五文昌」の一柱として祀られています。
そして、この協天宮は王爺信仰の廟。「奉勅令代天巡狩 関聖帝君」とあるのがその根拠です。天帝にかわり地上の霊的な部分での治安を守る「王爺」もしくは「千歳」の職務を「代天巡狩」といいます。実在の人物で生前なんらかの功績があった人、もしくは小説などで人気が出たサブキャラなどが王爺千歳神にされる例が多いです。
天上聖母=媽祖は本来王爺信仰とは関係ない女神様。ただ台湾では王爺信仰あるいは城隍信仰と結びつき、その配下の七爺八爺がともに祀られている媽祖廟もあります。
侯府千歳は戦国時代の信陵君の食客・侯嬴のことです。
中壇元帥も王爺信仰では「太子千歳」と呼ばれ、代天巡狩の役割を与えられています。
正殿の横にある副殿にも関聖帝君軍団。
お馬さん。「馬爺」として祀られる馬の神様は、私が調べた限りでは出所不明。ただ、赤兎馬であるという説もあります。しかし、関聖帝君とはまったく関係ない廟にも祀られていたり、場所によっては白馬の像だったりするので信憑性はありません。
とはいえ関帝廟に赤い馬が祀られていたら、それは赤兎馬だと認めざるをえないですね。