日本人にも人気の観光地・九?への起点として知られる瑞芳駅。
瑞芳龍巖宮は、瑞芳駅から徒歩5分ほどのところにある清水祖師廟です。
瑞芳祖師廟とも呼ばれ、艋舺清水巌祖師廟、三峽長福巖祖師廟、淡水清水巖祖師廟と併せ「大臺北四大祖師廟」として数えられます。
大台北は台北市と台北県をあわせた地域のこと。台北県は現在は新北市となっています。
瑞芳龍巖宮の創建は、日本統治時代の昭和元年=1926年。
瑞芳には安渓からの移民が多く、出身地の神様である清水祖師をお祀りしようとしました。
しかし、日本時代には総督府が道教の信仰を弾圧し、廟の建設を制限していたために私壇、つまり個人的な祭壇という名目でお祀りせざるを得なかったようです。
そして戦後、仏教の僧侶が仏菩薩を合祀し、1957年に現在の廟が建てられました。
主祭神は清水祖師。
宋代に福建は安渓に実在したと言われる僧侶・普足法師は地元のインフラ整備や医療、福祉などに功績があり、死後に法師を慕う人々が神様として祀りました。
それが後代朝廷より敕封の神に封じられ、道教の神としても取り入れられています。
清水祖師と呼ばれるのは、普足法師が修行した場所が清水巖であるためです。
清水祖師の像は必ず顔が黒く、そのため黑面祖師公とも呼ばれます。
清水祖師の顔が黒い由来として面白い伝説があります。
清水祖師が修行のため清水巖に至ると、そこには4人の魔物の大将がいました。
彼らは清水祖師に挑戦し、清水巖から出て行けと要求するものの、法力で返り討ちにあい退散します。
しかし、夜中にこっそり戻ってきて、四方から清水巖を焼き討ちにしました。
火攻めは7日間にわたり、どれそろそろ死んだかと魔物が見に行くと、祖師は傷一つなく座禅を組んでおり、しかしその顔は燻されて真っ黒に。
魔物たちは祖師に敬服して恭順し、護法神となりましたとさ。
この廟の清水祖師像の左右には、魔物ではなく中国仏教での護法神・伽藍菩薩と韋駄菩薩が配されます。つまり関羽と韋駄天=スカンダです。
さらに配神として関聖帝君。伽藍菩薩の関羽と神としての関聖帝君が同時に祀られている廟はさほど珍しくはありません。
ただ、清水祖師の左右に伽藍菩薩と韋駄菩薩が置かれているのは珍しいです。
こちらは不明。おそらくは孚佑帝君です。
あるいは左右に土地公・土地媽を従えているところから、その上司にあたる城隍爺かもしれません。
二階の中央には天上聖母。
その左右に千手観音と地蔵菩薩。
台湾でお地蔵様が地蔵王菩薩ではなく地蔵菩薩と表記されているのはあまり見たことがないです。
さらに千手ではない観音菩薩。
そして、武神であり、かつ芸能神でもある田都元帥。