東京媽祖廟の存在は以前から知っていて、いつか必ず拜拜に行きたいと思いつつも、なかなか行く機会が得られませんでした。そしてやっと新宿へ行く機会ができたため、訪れることができました。
東京媽祖廟はJR新宿駅と大久保駅の間ぐらいの位置にあります。創建は2013年。なんでも董事長の詹德薰氏が創建から20年前、夢に媽祖が現れ、日本で事業を興すこと、そしてそれが成功した後には大衆の苦しみを救うために道場を建てるようにとのお告げを受け、それが実現したとのことです。
坂戸市の聖天宮といい、信念に拠って異国の地にこんなに立派な廟を建ててしまう台湾人の持つ信仰の力には敬服するしかありません。
立派な天公炉。
さすがに冬の東京で台湾のように入り口を開け放していくというわけにはいかなかったもよう。
私は特に気にせず入っていきました。この廟では、日本の他の廟とは違い台湾と同じように無料で線香をいただくことができます。入っていくと中国語で話しかけられたので中国語で返しましたが、日本人だと言うと日本語で説明をしてくれました。
一階天公炉を拝した後、二階の関帝殿に行きます。
祭壇の中央に関聖帝君が祀られ、手前には台湾の多くの廟と同じように中壇元帥が祀られます。二階入り口の張り紙にある九龍太子というのは中壇元帥のことのようです。
配神は向かって右から済公活仏、武財神趙公明、関聖帝君をはさんで福徳正神、そして月下老人。台湾で人気の神様をまんべんなく揃えています。
二階のすみには大歳神。
続いて三階の媽祖殿。
こちらには台湾の北港朝天宮と、中国福建省の泉州天后宮それぞれから分霊された天上聖母が祀られます。訪問した日、ちょうど信徒の方々が集まって法要をしていました。
最後に四階の観音殿。神様や菩薩の名前に“様”がついているのが日本的です。
中央に観音仏祖、その隣に地蔵王菩薩。千手観音のようにみえるのが準提菩薩。準提菩薩は日本では准胝観音といい、観音菩薩の化身であると考えられているようです。
そして孔雀に乗っている孔雀明王。孔雀明王はその名の通り明王、つまり衆生を仏法に教化する役割をもった神ですが、孔雀明王に関しては菩薩ともすることがあるとのこと。
その仏教関連のみなさんの下になぜか虎爺がいます。台湾の廟に仏菩薩が祀られることは普通のこと、ただし虎爺は通常は福徳正神など道教神の下に祀られることが多いです。
一階の門神。その向こうに日本語が見えているというのはやっぱり特殊です。どれだけの苦労があれば新宿にこんなに立派な廟を建てられるのでしょうか?
建物の外には龍の池もあります。
そして敷地のすみっこには五營神將。
法要に参加されたみなさんのものと思われるお食事の用意もされていました。
※2019年8月7日追記
トップ画像のみ差し替え。
外にあった五營祠は現在取り壊されており、五營神將は三階の媽祖殿に移されています。
そのままなのか新しい祠が作られるのかは不明です。
※2019年11月2日追記
特に線香を挿す手というのを意識したことはありませんでしたが、媽祖廟の受付の女性が左手で挿すようにと教えてくれました。
※2020年3月18日追記
東京媽祖廟は5月31日まで外装工事が行われる予定。
拜拜は普通にできます。
内部にあった変化として、二階と三階に新しい神像が来ていました。
二階の関帝殿には新しい濟公活佛の神像。
三階の媽祖殿には新しい天上聖母か註生娘娘の神像。
目が赤い紙で覆われているのは封眼といいます。
新しい神像は、まず道士によって邪気払いが行われ、そして仏像の開眼儀式にあたる開光儀式が行われます。それまでは赤い紙や布などで目が覆われて悪いものが入らないようにしておきます。