台北霞海城隍廟は日本のガイドブックではお土産スポットなどと紹介されている問屋街・迪化街にある城隍廟です。台北霞海城隍廟公式サイトによれば、この廟の城隍爺はもともとは泉州の海辺にある街の守護神であり、清代に「臨海門」という扁額を朝廷より賜ったことからその街が霞城と呼ばれるようになったので、その海の近くに祀られる城隍神が霞海城隍と呼ばれるようになったとか。
台北霞海城隍廟は、霞城からの移民が将来した霞海城隍が祀られています。今の位置に廟が創建されたのは1859年。もともとは萬華にあったものが、霞城出身の住民と他の住民との間で争いが起き、負けて逃げ出して新たに建てた城隍廟がいまのものというわりと情けないエピソードがあります。
城隍爺を中心に様々な神像が祀られています。前に並んでいるのは五路財神。その後ろに並んでいるのは、城隍爺の配下の将軍。一番奥の城隍爺の像の周囲は、城隍爺配下の司法軍団です。
城隍爺は地上の霊的空間で警察と司法の長を兼ねた職能を持ちます。配下の将軍たちは街を警備して悪鬼や亡者を捕らえ、城隍爺が中心となって司法団がそれらを裁きます。
こちらは正殿の横にある副殿に祀られている城隍爺の奥様・城隍夫人。家庭円満などのご利益があるとか。
城隍夫人の前は五営将軍が守っています。五営将軍の中央は中壇元帥です。哪吒三太子は非常に人気がある神様で、どこの廟に行ってもたいてい像が祀られています。
観音仏祖も祀られていますが、千手観音像があるのはわりとめずらしいです。さらに珍しいのは、観音像の前に置かれた達磨大師の像。達磨大師の像が祀られる道教の廟はほとんど見られません。
副殿の天井には天女の絵。もし行くことがあったら見上げてみてください。
霞海城隍廟では壁画も鑑賞ポイントです。
こちらは日本でも人気がある鍾馗です。
日本では霞海城隍廟は縁結びのパワースポットだとか頭悪い紹介をされることが多いです。確かに恋愛成就を願う若い女の子の参拝客も多いですが、信仰の中心はやはり城隍爺です。縁結びの神である月下老人はあくまで配神に過ぎません。この金ピカの城隍像は、むやみに金ピカなわけではなく、ご利益があった人がその御礼のために金箔を貼り付けるというもの。
願いが自らの力でかなったか、神様のご利益でかなったかを判断するのはその人次第。自分の実力以上のことがかなったり、本気で実現したいことがかなったりした時は、人はなにかに感謝を捧げたいと思うものなのかもしれません。信仰心の厚い台湾人ならなおのことです。
台北霞海城隍廟は迪化街一段の南寄りにありますが、近所にMRTの駅はないのでバスで行けばいいと思います。とりあえず圓環まで行けば迪化街の入り口まで歩いて10分もしません。