萬華めぐりをしたときに萬華のはしっこ環河南路ぞいを歩いていてみつけた廟です。
台北東隆宮の創建は1961年。
この廟を建てた丁さんという方が、健康を害したために台南の三寮灣東隆宮へ赴いて李・呉・温府王爺の旗をゆずりうけて来ました。
その旗に非常に神威があったため評判となって信者が増え、屏東の東港東隆宮から改めて王爺の分霊をうけて建てられたのがこの廟です。
東港東隆宮は3年に一度「東港迎王」という大規模なお祭りが行われることで有名な廟です。台南の三寮灣東隆宮もまた東港東隆宮から分霊を受けた廟であるようです。
主祭神は温府千歳。唐の太宗に仕えた温鴻という進士が神格化された神様です。
温鴻は文官でありながらも武にも通じた文武両道で、唐太宗からの信任篤く、地方政府の監督などをしていたところ、台風災害で命を落としました。
彼を惜しんだ李世民は王爵を追封しています。
温府千歳の左右が李府千歲と吳府千歲です。
李府千歳は、唐の高祖と太宗に仕えた武将・李大亮、吳府千歲は唐高祖に仕えた今で言うなら風水師の吳孝寬がそれぞれ神格化されたものです。
風水師と言っても日本にはいいかげんな占い師程度の者しかいないのでピンとこないかもしれません。
本来の風水は日本で風水と呼ばれているものとは全く違い、地形を見て地の気の流れを判断するものです。吳孝寬はまた星をみる能力もあったとか。
その祭壇の下には虎ちゃん。
配祀はまず福徳正神。
観世音菩薩。
註生娘娘。
奥は東西南北中央の星君。前の神像は李府千歳です。
廟の左右を印将軍・剣将軍が守ります。
この二将は王爺千歳に仕える護法神です。
天帝より賜った代天巡狩の印=つまり権威、剣=つまり武力をもって王爺千歳をまもります。
廟のはしっこには馬使爺。
こちらは水神の水仙尊王。媽祖の配下の神様です。
東港東隆宮から分霊を受けた廟だけあり、王爺船も祀られています。
本来王爺船は王爺の神像を乗せて海に流されて燃やされます。これは、瘟神を引き連れた王爺を燃やし、天に帰すことで厄払いにするというもの。
東港東隆宮のお祭りでは、この何十倍、実際人が乗って航海できる大きさの王爺船がつくられ、燃やされます。
反対側には将軍府。ただ、いろいろ調べてみてもはっきりした来歴がわからない神様でした。
この廟の1階はなぜか野菜配送センターのような会社になっています。
その駐車場の隅っこに五營將軍の祠があります。