宏徳宮孫臏廟

三峽祖師廟へ行く一般的な起点は陶芸の街として知られる鶯歌です。googleマップでバス停などを確認しようと鶯歌周辺を見ていたときに、思わず「はぁっ!?」と声を上げるものを見つけました。それが孫臏廟です。

まさか台湾に孫臏の廟があるなんて。孫武の廟どころか神像すら見たことがないのに、まさか孫臏の廟なんてと興奮を隠せず、三峽に行く前に鶯歌駅から直行しました。

鼻祖というのは「元祖」というような意味。

しかしいくら神様として祀っているからといって、孫武を差し置いて孫臏を鼻祖とか源と呼ぶのはどうかと思います。

壁面には孫臏にまつわる石刻壁画がありました。これは王翦を捕らえる孫臏。実はこれは史実ではなく、おそらく『鋒剣春秋』という小説のネタ。現実には王翦と孫臏は100年ほど時代が違う人物です。

こちらは孫臏が計略を用いて混元陣を破るの図。こちらも小説からの引用です。

廟に入ってすぐの前殿に祀られるのは、孫臏ではなく九天聖帝。たぶん初めてお目にかかる神様です。台湾のwikiによれば、九天の九柱の神様の総称で、孫臏の門下生が祀られているとのこと。といいつつ、孫臏より立場が上の田忌とか、おそらく孫臏とは直接的には関係ない趙の李牧なんかも入っています。どうもこれも『鋒剣春秋』の影響が強いようです。

その下には虎ちゃん。

さて後殿に行くと、その中央に孫臏が本当に祀られています。

後に調べると、八仙を上八仙、中八仙、下八仙の24人設定しているものがあり、孫臏はそのうち下八仙に入れられているようです。

王禅は戦国時代の遊説家・鬼谷子のこと。どうも『孫龐鬥志演義』という小説で孫臏の兵法の師ということになっているようです。鬼谷子は『鋒剣春秋』のほうにも登場して孫臏を助けるようです。

白鶴童子は『封神演義』に登場する姜子牙の弟弟子。『鋒剣春秋』では、姜子牙が孫武に転生し、孫武が孫臏に転生したという設定だそうなので、そのつながりかもしれません。

その横には五路財神殿。

その下にも虎ちゃん。虎爺は財神としての属性もあります。

その横には福徳正神となっているものの、

文昌筆が置かれています。

魁星爺、朱衣星君となっているので、奥の中央が文昌帝君で、手前4尊を加え五文昌でしょう。ところで魁星爺が魁のポーズをとっていない像というのはなにげにレアではないかと思います。

そして五營將軍。

孫臏の左隣りには南極仙翁。こちらも小説でのつながりです。

さらに隣に神医華陀。こちらは多分なんの関係もなく祀られています。

その隣、中央に祀られるのは袁府千歳です。袁府千歳は、九天聖帝にも含まれる斉の将軍袁達。斉の将軍といっても実在はしない架空の人物です。

まあ孫悟空が信仰される世界で架空の人物だからどうこうとか気にしていられません。

二階に上がると玉皇大帝が祀られます。

その正面には太歳殿。

玉皇大帝の左右に北斗星君、南斗星君が配されるのは一般的な様式です。

そのまわりにも孫臏の物語の壁画が奉納されています。

と思ったら空気読まず桃園結義があったり。

二階からは巨大孫臏像がよく見えます。

一階に降りると平安橋があります。

平安橋を進んでいくと神牛。この牛さんは「独角牛」。民進党の蘇貞昌さんが新北市市長選の前にここを訪れ、角をなでて当選を祈願したとのことです。結果落選したのであまりご利益はなさそうです。