元帝廟北極亭

左営蓮池潭のほとりにならぶ宗教オブジェの一つ、巨大玄天上帝がそびえるのが元帝廟北極亭です。名称の通り、ここから歩いて5分ほどの左営元帝廟及び神農大帝を祀る左営豊穀宮が共同管理する施設です。『ノブナガン』の冒頭で「でっかいおっさん」扱いされていましたが失礼な話です。

この北極亭と玄天上帝像が作られたのは1995年のこと。神がかりのシャーマン・乩童にお告げがあって建てられたそうです。

門からまっすぐの橋がかかります。龍虎塔と違って魔物を避けるためのジグザグ橋になっていないのは、玄天上帝が降妖伏魔の力を持つ武神だからでしょうか?

橋の欄干には三十六天将が並びます。三十六天将は三十六天罡星にあたりますが、梁山泊の強盗どもとはまったく違います。

これは岳元帥=岳飛。岳飛が入っている時点でかなり新しい設定だということがわかります。

李元帥哪吒。

楊元帥顕聖二郎真君。

王真君。つまり隆恩真君王天君。

玄天上帝の像の足元で、地元の中学生か高校生がボランティアガイドかなにかの練習をしていました。彼らと比べるとその大きさがわかると思います。

四神のうち北方守護を司る玄武の人格神である玄天上帝は、一般的には両足で玄武を構成するヘビと亀それぞれをふんずけています。この像は右足を上げるデザインにしてしまったせいか、左足でヘビと亀をまとめて踏みつけています。

像の内部は玄天上帝を祀る廟になっているのでお参りします。

梁に貼られているのは、黒令旗。玄天上帝の陣営であることを示します。

壁にも三十六天将の絵や玄天上帝の故事が描かれています。

玄天上帝降田華は玄天上帝が主人公の小説『北遊記』のワンシーンです。玄天上帝が雍州に至ると、おじいさんがさめざめと泣いているので、どうしたんだいおじいさんと聞いたところ、近くの山に妖怪が住み着き、孫を嫁によこせと脅されているといいます。ありがちな話です。そこで玄天上帝がその山に住む妖怪・田華を七星剣でやっつけるというお話。

田華は降参して配下になり、玄天上帝を助けて瘟神などを討つ役割をもっています。また、雷部五元帥の一人ということなので本来なら九天応元雷声普化天尊の配下じゃないかと思います。

二階にも玄天上帝が祀られます。

玄天上帝を主祭神とするのは武当道です。明代には護国神とされて朱家の守り神となったので、鄭氏台南占領のおりにその信仰が伝えられたのかもしれません。今では多分まじりあっているとは思いますが、おそらくは正一教とは別系統の信仰として伝わったのではないかと思います。