坑口誠聖宮

台湾からの帰国の日、早めにチェックインした後にどうやって時間をつぶすかというのはなかなかの問題です。桃園空港にはアトラクション的なものはないので、なにか食べて過ごすか、とっとと搭乗口まで行って本でも読んでいるかぐらいしか選択肢がないように思います。そんな時、空港のそばに有名な廟があるという情報を得たのでお参りに行ってみました。場所は桃園MRTの第1ターミナル駅から各駅で一つ手前の坑口駅です。

空港のすぐ隣の駅なのに、田んぼが広がって見えます。まあ、成田も空港につくすぐ手前ぐらいまでは田畑が広がっているので、郊外の空港というのは似たようなものなのでしょう。

稲が青々と茂る田んぼの横を歩いていきます。

関係ないけどこちらは私の実家の近所の様子。農村は日本も台湾も雰囲気が似ていて、町の中を歩いているより異国情緒が少ないように感じました。

駅から10分ほど歩くと誠聖宮に到着します。

誠聖宮は関聖帝君を主祭神とする関帝廟です。関聖帝君の像の周りに脈絡もなく神様の像が並べられているのは、特に規模が小さい廟によく見られる光景です。

中壇元帥や済公など人気の神様がいて、傍らに青龍偃月刀。青龍偃月刀はあくまで演義での関羽の武器であり、東漢末にはこの様式の刀はなかったので本物の関羽は普通の大刀を使っていたと考えられています。ただまあ、中壇元帥や斉天大聖が祀られる世界でそんな小さいことをツッコむのは無粋というものです。

反対側にも中壇元帥と、あとなぜか神農。神農が混ざっているのはやはり農村だからというのもあるのでしょうか?

配祀として福徳正神と観音仏祖がいるのはよくある形。

で、こちらが斗母元君だと思われますが、左右に日月を掲げる斗母元君の様式とはちょっと違う像です。なので斗母元君の様式が作られる前の元ネタである摩利支天像という可能性もあります。

ところで道教廟といえば奉納壁画の鑑賞も楽しみの一つです。どうやらこの廟の信徒には『封神演義』のファンが多いらしく、『三国演義』関連の壁画の他に『封神演義』ネタも多く見られました。

こちらは渭水のほとりで釣り糸を垂れる姜子牙にいらんお世話の釣り場のアドバイスをする武吉。

黄飛虎の長男・黄天化が師の道徳真君に武成王を助けに行ってこいやと命じられるシーン。

武王を奉じ朝歌に迫って紂王を譴責する姜子牙といったところでしょうか。史実で言うならいよいよ周による商侵略が最終局面に入ったところです。

だいたい往復で1時間弱なので、搭乗前の時間つぶしには最適です。