無極天元宮

2018年の5月末に台湾を訪れた私の目的は、これまでより多少上位機種のデジカメを購入したので、それまで訪れた廟をさらにきれいに撮り直すことでした。淡水も道教廟の密集地帯ですから、そのうち主要な廟を撮影しなおすつもりで行きました。しかし、駅について壁にかけられた観光案内に、これまで行ったことがある廟とはまったく違う様式の塔の絵とともに天元宮とあったために即座に予定を変更。簡易地図を見た限りでは歩いて行けそうだったので、山のほうに向かって歩き出しました。

しかし、この日はかなりの高温で、しかも急勾配の淡水の山を歩いていると気息奄々。途中全く違う廟などに立ち寄り、バス通りを発見すると、そこからかなり遠い場所に「天元宮」というバス停があることがわかったので、素直にバスに乗って行くことにしました。

天元宮の入り口はバス停からすぐです。門前には池があり、筆から水をぴゅーっと出す方がお出迎えです。どうやら無上真聖尊という方らしい。でも調べてもどういう方かは不明なのでこの廟オリジナルの神様かもしれません。

この廟は、1971年に淡水港務局で働いていた汪萬癸という人に神様からのお告げがあり、そこで同僚の方々8人と資金を募り、翌年1972年に廟が完成したとのこと。また、遠くに見える塔は1985年に着工、1992年に完成したそうです。というとが、無極天元宮の公式サイトに載ってました。で、この公式サイトには中国語の他に英語と日本語の説明もあり、沿革の日本語版には

「天元宮は道場であり、新しい信仰の場である。決して世間にあるような廟と同じようにしてはならぬ」とのお告げもありました。現在に至るまでこの聖示は頑ななまでに守られています。

と書いてありますが、なぜか中国語版のほうにはこの部分書いてありません。どうやら道教の流れを引いてはいるものの、台湾で主流の正一教系でも、鸞堂恩主信仰でもない独自の新興宗教であるような気がします。

門をくぐってまず現れるのが本堂とも言える無極天元宮です。

中央に祀られるのは、天元宮によれば無極老祖、南無天元大保彌勒尊佛、玉皇大天尊玄霊高上帝、天地人の三皇聖尊、太白星君聖尊とのこと。前列中央が弥勒ですね。布袋尊が弥勒の化身だとする中国仏教の流れを受けています。後列中央が玉皇大帝。赤ら顔で見た目関聖帝君っぽいので、もしかしたら関帝が代替わりにより今の玉帝になっているという信仰の流れかもしれません。太白金星は後列左でしょう。

あと残っているのが無極老祖と三皇。手前の箱の中がおそらく無極老祖。とりあえず残りの半裸のおとっつあんたちのうち、黒いのは神農でしょうね。多分後列右が伏羲で、前列左は、いろいろある三皇の組み合わせのうち女神である女媧や祝融ではなく、黄帝でもなかろうということで、消去法で燧人かなと思います。

配神としてまず観音仏祖。

そして純陽祖師、つまり呂洞賓。

正殿のお参りを済ませたら、いよいよそびえ立つ塔へ向かいます。

こちらが無極真元天壇。確かに北京の天壇をグレードアップしたような感じもあります。近くまで行くとかなりの迫力です。

さてまず1階に祀られるのは、後列中央が至聖先天聖祖無極至尊。赤ら顔なのが南天玉皇大天尊玄霊高上帝=玉皇大帝。やはりここでの玉皇大帝は第18代玉皇大帝としての関聖帝君なのかもしれません。左が北極玄天上帝。至聖先天聖祖無極至尊はどの神様にあたるのかわからないです。この宗派オリジナルかもしれません。ただ、至聖と付くのであるいは至聖先師=孔丘という可能性はあります。前列中央が無極瑶池金母大天尊=西王母、右が無上虚空地母無量慈尊=地母娘娘=后土、左が無極九天玄母大天尊=九天玄女。

2階に祀られるのは、中央が無上佛、右が無上元、左が無上真。無上佛っていうのは浄土真宗だと阿弥陀如来だそうですが、多分こちらは違います。無上元、無上真もわかりません。信徒の人に直接聞かないとわからない設定があるんだろうと思います。

3階の中央は無極金光玉皇大天尊、右が無極王天君、左が無極托塔天王。1階の玉皇大帝が関聖帝君だとすると、とこっちの玉皇大帝は別の代の玉皇大帝だと推測されます。北投にある行天宮の分宮にも関聖帝君の玉皇大帝とその前代の玉皇大帝が祀られていました。王天君と托塔天王はわりとおなじみの神様。

前にある絵の中は、めんどくさいから盛られた尊称を省くと中央が弥勒如来、右が阿弥陀如来。で、左の玄元聖佛は聞いたことがありません。ググってみると「玄元聖」までだと玄天上帝のことらしい。でも仏がつくととんとわかりません。これもオリジナル仏かも。

4階まで来ました。

中華帝君=黄老、東華帝君=木公、南華帝君=赤精子、西華帝君=西方金母、北華帝君=水精子。東華帝君は他の道教廟でもよく見かける神様で、西王母と対になる神様の東王公のことです。赤精子はかなり古い仙人、西方金母は西王母のことでしょう。あと黄老と水精子はこの廟オリジナルではないんですが、五行に当てはめるためにあとから作られた神様じゃないかと思います。

やっと最上階の5階。ここエレベーターがありません。日本だったら建築基準法違反です。

中央が玉清元始天尊、左が上清霊宝天尊、太清道徳天尊の三清。ここではきっちり三清が玉皇大帝より上位に置かれています。中央手前は1階と同じ至聖先天聖祖無極至尊。でも1階とだいぶ姿が違います。先天で無極というところから盤古だという可能性もあります。さすがにこの姿で孔丘ということはないでしょう。

で、5階からの眺めがこんな感じです。この写真ではわからないですが、遠くに淡水河が見えました。淡水駅は淡水河のそばですからそりゃ歩いて登ってくるのは無理ですわ。

無極真元天壇の裏には無極真元玄枢大宝殿があります。名前の割にはだいぶ質素といいうか、しょぼい感じになってます。

この手前に大きなテーブルがあるので近づけず、中がどんな感じになっているかはよくわかりませんでした。

ここからさらに登ると聚元三聖殿というのがあります。でも道がよくわからず、暑さといろいろ登った疲労もあって断念し、バスで淡水駅まで戻りました。