奠濟宮

台湾北部の港町・基隆といえば基隆駅から歩いて10分ほどの位置にある「廟口夜市」が有名。その夜市に口を開く廟が奠濟宮です。

夜市の真ん中ぐらいに前門があります。

前門と廟の間にもお店が並んでいます。台湾北部の夜市の中では、ここはかなりレベルが高いと感じます。

奠濟宮前といえば、なんといっても鼎邊銼が有名。これは幅広のライスヌードルです。ただ、私は以前は食べられたんですが、今はエビアレルギーの反応が強くなってしまったために、干しエビが入っている鼎邊銼は食べられません。ということで、鼎邊銼の店の隣で羊の魯肉飯を食べましたが、これがクソうまかったです。

主祭神は、漳州系福建人の守り神・開漳聖王。開漳聖王は、唐代に?州を平定し、開墾した陳元光が神格化された神様です。

主祭殿の前にも開漳聖王を中心に、水仙尊王・田都元帥・天上聖母・関聖帝君などこの廟に祀られる神様の像が置かれています。忙しい人はとりあえずここでお参りをすませとけって感じでしょうか?

創建は1875年ですが、戦時中に米軍の空爆により焼失。戦後に再建が始まり、正殿は1964年に再建されました。また、1998年に3階建の後殿が完成しています。

比較的新しく後殿が建て増しされたり、再建されたりした場合、たいていは道教の最高神・玉皇大帝が祀られます。ここの3階の中央も玉皇大帝です。

それと関聖帝君と天上聖母。このへんはもう人気度が反映されていると思いますね。人気の神様がいると参拝者が増えますので。

2階の中央には芸能神の田都元帥。田都元帥は泉州系福建人が多く信仰する神様です。中国から渡ってきた第一世代は出身地の違いで殺し合うといういかにも中国人的な性質を持っていました。そんなキチガイじみたバーサーカー軍団も、日本統治を経て文明人になっていきます。また代を重ねて「台湾人」という意識が生まれてからは、漳州だ泉州だで争うようなアホはいません。

道教の男神像といえばたいていは髭が生えています。髭が生えていないのは女神は当然として、童神の中壇元帥と猿の斉天大聖、それとこの田都元帥ぐらいじゃないかと思います。

荷葉先師は土木工事の神様です。春秋時代の名高い工匠・魯班の弟子とも、また魯班本人だとも言われ、土木工事の技術や瓦の製造法などを発明したとか。

あと財神。

後殿1階には海神の水仙尊王。もともとは別の廟に祀られていました。日本時代に道路を造る都合で奠濟宮の裏にうつされ、それが後殿として扱われるようになったとのこと。李登輝政権以降、台湾の日本統治は台湾を発展させた功績があると好意的な評価をされるようになっています。しかし、その陰で民衆の信仰を軽視し、いくつもの廟を破壊した負の面があることも忘れてはいけません。ここのように場所をうつせたのはましなほうです。

水仙尊王は天上聖母同様航海の安全を守る神様で、現在は天上聖母の配下に組み込まれています。

文昌帝君と福徳正神。

後殿の天公炉の前は正殿の裏側。正殿の周囲には開漳聖王にまつわる壁画が描かれています。

開漳聖王のもと開墾にいそしむ人々の絵。

ちなみにこの鳳凰の横はトイレに行く階段になっています。夜市に行ってトイレに困ったらここで借りればいいでしょう。ただ、トイレだけ借りていかずに、正殿のお参りぐらいはしていきましょう。