艋舺五福宮

萬華の淡水河沿いにある長沙公園を、環河南路に沿って南西方面にちょっと行くと、斜めの敷地にむりやりおしこんだような廟があります。

こんな感じ。これ日本だったら道交法で絶対許されませんよね。

テーブルの下はわんこの定位置みたいです。

主祭神は鍾馗。台湾にはどれだけ廟があるんでしょうか?数万?数十万?その中でも鍾馗を主祭神としている廟はここだけらしいですが未確認情報です。

垂れ幕に霹靂大帝とあるのは鍾馗のことのようです。でもどうもこの廟だけの設定みたいですね。「翊聖雷霆驅魔辟邪鎮宅賜福帝君」という神名からの発想で付けたのかもしれません。

古色蒼然として見えますが、創建は1997年と比較的新しいです。どうやらこの廟の主は童乩であるようで、鍾馗を体に降ろして町を歩くというお祀りの様子がyoutubeにありましたけど、童乩という文化を知らなかったらただの変なおとっつぁんです。

鍾馗の上に地蔵王菩薩。両者の関係性ははっきりしません。一つ想像すると日本では鍾馗は閻魔大王に駆魔の役目を与えられたという話があるようなので、日本時代にその話が流入し、そこから閻魔大王と同一とされる地蔵王菩薩が置かれたという可能性もあります。

右側に「奉旨驅魔」とあります。旨というのはつまり勅命であり、神様の世界では勅命を出すのは天帝ですから、道教の考え方からしたらただの地獄の裁判官である閻魔がそんなもの出す権限があるはずがないわけです。つまり、閻魔が役目を与えたというのはそういう常識がない日本で作られた話でしょう。

ちなみにもともとの鍾馗の伝説には閻魔とも地蔵とも関連性はありません。悪霊を退治するという職能から、地獄との関連性が生まれたのかもしれませんが。

しかしこのボンバヘッな中壇元帥はどうしたのでしょうか?

五雷大帝というのはたぶん九天応元雷声普化天尊配下の雷部五元帥のことだと思われます。

唯一ということで言うなら、台北の廟でわんこの神様が祀られているのもおそらくここが唯一。新北市の海岸沿いには十八王公というわんこ神様の廟があるとのことですが、あれはその沿岸で起きた海難事故が元になってできた神様なので、ここのわんこ神様とは違うと思うんですよね。台湾のyahooで「狗 神」と調べても日本の犬神しか出てこないので由来は不明です。ここのおじさんがわんこが好きというだけかもしれません。

端っこにある祭壇の上段は五営将軍。五営将軍の中に入っているのに別に飾られがちな中壇元帥です。

下段は観音仏祖と福徳正神。

明らかに歩道に無許可で建てられている祠には関聖帝君。台湾はいろいろゆるいといってもこれダメでしょ。

こちらも歩道にある五方仙姑祠。この「五方仙姑」も調べるとこの廟しか出ません。謎仙女です。

そして馬。金龍神駒だそうです。これも多分オリジナル設定。龍で馬って言ったら西遊記の唐僧の馬ですけど、あれは本名玉龍、通称白龍なので違うし。童乩のおじさんいろんな意味で自由すぎだと思うんですよね。童乩なので神のお告げという名の独自設定をいろいろしているのかもしれません。

翼が生えた虎ちゃんがいます。虎に翼とは、強いものがさらに完全になるというマジンガーZにジェットスクランダーみたいな意味ですけど、どうもこの見た目はタイガーマスクの虎の穴を連想してしまいます。

とても小さな廟なのにカオス的な意味で充実しすぎだろうと思います。