玉碧三王府

集義宮と同様、朱・池・李三王爺を祀る代天府です。

天帝に代わって人間世界の警備を行う王爺を信仰する文化は福建で生まれ、移民によって台湾に伝えられました。

同じように見える王爺信仰でも、例えば三府王爺、五府王爺などはそれぞれ違う組み合わせがあるので、おそらく同じ福建でも地方によってそれぞれ系統があるのでしょう。

で、朱・池・李それぞれの王爺については、唐の建国の功臣である朱叔裕、池夢彪、李大亮だとするのが一般的。ただ、別系統として朱王爺が鄭成功だとする説もあるようです。鄭成功は国性爺と呼ばれるように、その功によって明帝・紹宗より朱姓を賜っています。といっても紹宗は明が李自成の乱に逐われた亡命政権である南明の皇帝なので客観的にみるとあまりありがたくなさそうですが。

しかし、朱王爺を鄭成功にするのはいいとして、その場合他の池王爺が鄭成功の息子の鄭経、李王爺を孫の鄭克臧だとするのはちょっと意味不明です。

英霊あまねく世を救うという意味。王爺千歳が台湾で人気の信仰なのは、悪霊のたぐいをやっつけてくれるヒーローだと認識されているからかもしれません。

この廟の龍虎は壁画です。かなり年季が入った絵ですね。こういう汚れは長年備えられた線香の煙によるものらしく、聞くところによるとこれはその神様がどれだけ信仰を受けてきたかの証であり、きれいにすると信心から集められた神威が失われるためにわざときれいにしないのだとか。

麒麟は首は龍に似て形は馬の如く、状は鹿に比され、尾は牛のごとし、背中には五彩の毛紋があり、腹には黄色の毛があり、口から火を吐く。その声は雷のごとし。という瑞獣。架空の生物にこれだけはっきりとしたイメージを与えるのがおもしろいところです。

日本人がgiraffaをキリンと呼ぶのは、鄭和艦隊がアフリカから連れ帰ったgiraffaを明成祖永楽帝に「これ麒麟やで」と献上したからだと言われていますが、ほんとかそれと思います。なぜなら中国語ではgiraffaは長頸鹿だからです。

玉碧三王府は環河南路沿いの厨房道具街の近くをぷらぷら歩いてるとあります。