艋舺集義宮

集義宮は、萬華を南北に走る康定路を、萬華駅のほうに行くとあります。創建は日本が台湾を領有した5年後の1900年といいますから、なかなかに歴史がある廟です。ただ、現在の建物は25年ほど前に建て直しされたもののようです。

ここはいわゆる王爺信仰の廟であり、主祭神は朱・池・李の三王爺です。

王爺は特に功績があった武将などが、死後に天帝に選ばれ、天にかわって地上の悪鬼を成敗するという役割を与えられた存在で千歳とも呼ばれます。

まず朱王爺は朱叔裕、池王爺は池夢彪、李王爺は李大亮で、それぞれ李淵の時代から李家に仕え、後に李世民の配下となって唐の建国に貢献した武将たちです。他に范承業、吳孝寬を入れた5人で義兄弟の契りをかわしており、その5人で「五府千歳」としても信仰されます(五府千歳は別の5人が入ることもあります)。

ただ、台湾では朱・池・李の三人がセットになっているのをよく見ます。

これが1階の祭壇。この裏側に階段があって二階に登れます。

なかなかにいい雰囲気です。調べて建て直されたものと知るまでは、かなり古い建物を保存してあるのかと思っていました。

二階の朱・池・李千歳。わざとなのかどうか知りませんが、薄汚れたガラスの向こうに祀られているために上手に写せませんでした。

これは人間が座るためのものではなく、朱・池・李三神が座ってお仕事をするためのものだと思います。王爺にはまた、冤罪を晴らす司法官としての職能も付与されているということで、テーブルに置かれている筆は判決を記すためのものかもしれません。

椅子の側から二階奥を眺めるとこんな感じ。もちろん椅子の横から撮っただけです。

范将軍と謝将軍が「百福将軍」として祀られていました。調べた限りでは「百福将軍」という名称はここのオリジナルみたいです。

特に脈絡もなく中壇元帥がいると思いましたが、どうやら王爺信仰では中壇元帥は「太子千歳」という王爺の一部にされているようで、その関連かもしれません。でも単に人気者だからかもしれません。

天帝に代わって役割をはたすことを「代天巡狩」と言います。また、その役割を持った神様が祀られる廟を「代天府」とも呼びます。道教における天界というのは、それぞれに役割が決まった政府機関となっているのでその意味で「府」と付くわけです。

ひっそりとしていて、建て直しされたのにわざと古い雰囲気で作られているようで、かなり好きな廟です。